祥字

  祥字は我が家で一番数の多い蘭です。今年もたくさんの花を咲かせましたが、総じて花弁に醜い茶筋が入り早々に切り取ってしまった株が多くあります。祥字は咲き出しの時の花弁の翠緑色が見ものですが、この茶筋が邪魔をして魅力を消してしまっています。秋から冬にかけて当地のような暖かい地域では、蘭の蕾が動きます。特に温度に敏感な品種はこの影響を大きく受け、咲いてしまうものさえあります。祥字は花の中心にある兜が動き出すため外側の花弁が押し出され伸びきらない花弁の先が裂けてしまいます。時間が経つと醜い茶黒い傷跡になって傷んでしまいます。20年ほど前にはこのようなことはあまり起こらなかったのですが、温暖化の影響だと思われます。

IMG_6450_convert_20170406130151.jpg

 祥字は花付きの良い品種です。バルブの両端に蕾が付くこともしばしば。晩秋には良いつぼみだけを残す蕾欠きが必要です。小さな蕾は兜だけが発達し花弁が貧弱で見られません。兜と鼻頭は内側で癒着してこの部分は肉厚なのですが、外三弁は肉薄で外棚で咲かせると波打ったりよじれたりして咲いてしまいます。温室の中の湿度のある穏やかな環境で咲かせないといけません。そう思いながら外棚のままで咲く花には申し訳ないと思っています。

IMG_6472_convert_20170406130358.jpg

万字

 今年も6鉢に万字の花が咲きましたが,満足できるものはありませんでした。どの鉢も新子を出して増えてはいるのですが,株に勢いがありません。そのような鉢から咲いた花は例年より小さく咲いてしまいました。万字のつぼみは大富貴の蕾以上に大きくなければ良い花は咲かないと言われていますが,作ってみるとなかなか大富貴の蕾を超えるほどにはなりません。株よりも木を大きく六枚葉以上に作らないとつぼみも大きくなりません。どうも私の作は日本春蘭と同じように締めて栽培しているのでのびのびした中国春蘭らしさが失われてしまうのかもしれません。


IMG_6432_convert_20170329100729.jpg


  時に、万字は勢いが出ると作上がりした新子に蕾を付けることが多く,そんなときは大富貴超えの蕾になり見ごたえのある花が咲きます。包皮は紅くすみの緑色で紅筋を通し,軸も紅茶色で派手さはありません。タク(一番上の包衣:漢字忘れました)にも緑紅彩をかけます。このタクに緑彩があると花の兜も立派になるのが中国春蘭の特徴です。
  葉も蕾も深い緑と濃い紅彩によりくすんだ印象ですが、その中から翠緑色の花が咲く対比は万字独特のものでしょう。良い花は花弁に厚みを感じ,緑色の中にみずみずしい空色を感じることができます。一般に翠緑色の特徴を表すには花弁に十分水分が行き渡り,のびのびと咲くことが必要です。万字だけでなく祥字にしても大きく伸びやかに咲いたときは良い色になります。この翠緑色こそは東洋蘭独特の色彩であり,チューリップやダリアのような鮮やかな緑色とは違ったものです。緑色を薄めたものでもなく,翡翠色に空色を重ねた生きた色のイメージなのです。この翠緑色は日本春蘭の持つ朱金色と共に東洋蘭の中で特に大切に守ってゆかねばならない色です。

IMG_6400_convert_20170319184002.jpg


 万字の葉はくすんだ深緑色で艶がありません。暗いイメージを抱かせるもので,一年を通して他の株立ちほど目立ったものではありませんが,花があるときは精一杯艶のある翠緑色の花を咲かせて葉との対比を楽しみたいものです。

蘭展その2

 京都府の宇治市まで蘭を見に行ってきました。百喜千遊会の展示会です。
変わった蘭,珍しい蘭,地方の蘭など数多くの貴重な蘭が展示されていました。当日はたくさんの愛好家が訪れ賑わっていました。会場には顔見知りの人がたくさん。皆珍しい蘭を見に来ているのだと思います。
自分が興味を持った蘭を写真に撮りました。

IMG_6419_convert_20170325200218.jpg
     無名紫花

この紫花は毒々しさがなくスッキリと咲いていました。会場には緑の花弁に紫紅筋が入る更紗系統から紫紅色花までいろいろなタイプの紫花が出ていました。



IMG_6418_convert_20170325200241.jpg
     黒水晶

 黒水晶は一度作ってみたい花の一つです。炭を塗ったような舌の色合いと花弁の落ち着いた緑色に東洋蘭っぽい神秘さが現れていました。2点展示されていましたが,まだ株数が少ないようです。

IMG_6415_convert_20170325200307.jpg
     白鵬

 この散斑花は白鵬と名前がついていました。白地に明るい緑色の散斑が美しく上品な感じがっ出ていました。

IMG_6414_convert_20170325200329.jpg
     金青晃

 金青晃は昔の品種ですが,非常に美しく咲いていました。遮光のせいか緑地が薄く朱金色が冴えたように見えました。今後見直されるような気がします。


蘭展

 1昨年登録されたばかりの「はなかまきり」が見たくて朝からてくてく,兵庫県宝塚まで出かけました。大阪東洋蘭会の春蘭展です。「はなかまきり」は蘭友T氏の山採り。全春連に登録できるほどの蘭を家の近所で見つけたということで,あまりに幸運,うらやましいのを通り越してただ驚くばかり。花は遮光しなくても緑は薄く出るようで、白くなりやすい気質は持っているようです。白く咲かせると妖艶な感じが出ていました。葉は仲立ち性,鋸歯の細かい中国春蘭のような姿をしています。

花カマキリ_convert_20170312190130

同じくT氏の神秘。軸も伸びよく咲いていました。神秘は花も大きくて展示会では目立つ存在です。名花ですね。

神秘_convert_20170312190235

お昼からは京都の洛風会を見学。
蘭友と出品作を見ながらおしゃべり。私よりもずっと年上なのに展示会に出品するエネルギーに敬服してしまいました。

珍しい白鷲が飾られていました。曙銀葉に白弁花が咲くもので,まだ数は少ないと思います。

白鷲_convert_20170312190323



先陣

 我が棚の花の季節到来の先陣はイトランの野生種です。早春の冷たい風の中を微かな香りとともに咲き出してきました。蕾の時は紫紅色ですが咲き上がると薄い色になってしまいます。野生種なのに性質が弱く,一昨年まで黑斑病で醜くなっていましたが,気を入れて消毒を行ったためにしだいに葉の痛みが取れてきました。芳香が清々しいです。

IMG_6324_convert_20170305103818.jpg


 光琳は今も昔も日本春蘭を代表する名品です。明るい朱金色に咲きました。山採り当時の写真と同じ色ですが,黒崎さんが咲かせたのはもっと朱色が乗ったように思うのですが,最近はどの展示会で見ても同じような明るい朱金色に咲いています。遮光の違いかと思って(昔は遮光が甘かった)手前の花はキャップせずに咲かせてみましたが,ご覧のようにただのくすんだ朱金色にしか咲きませんでした。あの朱色はどこに行ったのでしょうか。私は黒崎さんの言うように置き場所をやや遮光の効いたところに決めて年間動かさずに作っていますが,木は作れても花色はうまくゆきません。



IMG_6326_convert_20170305104017.jpg


 花の季節に先んじて出版社から春蘭の写真集が発売されました。楽しみにして手にとってみましたが,少し残念なことに色がもうひとつ。綺麗ですが花の生きた色が出ていません。デジタル処理でそうなるのか,制作担当者に春蘭の知識がないためになるのか分かりませんが,これでは品種の色の特徴がうまく伝わりません。微妙に品種の紫がかったりとか,朱色がかったりとかのニュアンスがありませんので,読者の目に留まるのは花形ばかりになるのでしょう。もっと自然のもつ変化のバラエティーや深みが少しでも伝われば春蘭の面白さが増加すると思います。
 ただ,あれこれ言っても春蘭の本が出たことは喜ばないといけませんね。
プロフィール

ゴリョウ

Author:ゴリョウ
東洋蘭との日々の付き合いで感じたことを書いています。

メールはこちらまで

この中の画像をヤ0オクに転載することは固くお断りします。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード