紅貴の思い出(3)

 その後,紅貴のことは諦めるしかないと思っていた私に,数年して,月刊「東洋蘭」誌に2枚の写真が掲載されます。一枚は黄花素心で軸に少しピンクが入るというもの。もう一枚は紅貴ですが,それが今まで見たものと比べようもない広弁の花でした。素晴らしい花です。紅貴はこのような花が咲くのかとしばらく写真が頭から離れなかったことを覚えています。それは東京の高島屋にある蘭店が掲載したものでした。紅貴はここまで咲くのかとその素質に改めて感じ入るとともに,再び紅貴が欲しい気持ちが湧き上がってきました。いても立ってもいられず,直接店主に電話すると,1芽30万円とのこと,すぐさま2芽を注文し,お金は送金すると約束しましたが,店主はそのような売買の仕方はしていないとのこと・・・。
 
 その頃の私は東京まで買いに行く時間もなく,この花とはつくづく縁がないものと感じました。

IMG_4014.jpg
赤花のボヤが出ている紅貴

 その後,縁がなかったこと,登録品よりも良いものが存在すると知ったことなど,私は紅貴に対する収集欲が徐々に薄れてしまい,追う事をやめました。手に入ったのは,ずっと後,価格が10万円を切ったと聞いた頃で,親しかった京都蘭センターの先代に注文を出して探してもらったものです。

 以来,何度か花を咲かせてはいますが,今回「自然と野生ラン」誌上に掲載された高島屋紅貴を見て,懐かしい思い出がこみ上げてきました。恐らく当時,月間「東洋蘭」誌に掲載されたあの紅貴を見た人はかなりいたはずで,価格からしても取り合いになったのではないかと想像できます。ただ,今回,野生ラン誌に掲載された花は当時高島屋の花に比べ花弁が細く,色はより赤くなっています。紅貴がこれほど赤く咲いたのは見たことがありません。花はその年により変化しますので,花弁はもっと大きく広げると思います。花型は中国春蘭で言う三弁收根。円弁の女雛が愛らしい雰囲気だとするとこちらは完成された大人の魅力というものでしょうか。
紅貴は赤花ブームの終わり頃に普及し始めた品種なこともあり、あまり騒がれないまま縞人気に移りましたが、良い花が発表されれば人気が出る要素を備えた優秀な品種です。

 蛇足ですが,当時の東洋蘭誌に紅貴と一緒に掲載された黄花素心は、後に黒崎氏から黄麗殿と名付けられ登録された花で,これもまた名花です。
スポンサーサイト
プロフィール

ゴリョウ

Author:ゴリョウ
東洋蘭との日々の付き合いで感じたことを書いています。

メールはこちらまで

この中の画像をヤ0オクに転載することは固くお断りします。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード