放っていたブログ

 暖かい当地もさすがに昨日・今日と寒くなってきた。年末になって書くこともないので,春に書き綴ったまま放っておいたブログを載せる。

 春蘭の展示会で感じるひとつに,素心の蕾にキャップを被せ遮光した花を見せられる事が多い。例えば紀の白帆という蘭があるが,白帆というネーミングのためだろうか,遮光花ばかりが目に付く。
 私が最初にこの花を見たのは20年程前,黒崎氏の蘭舎内であった。数花四方に咲き誇ったその花は,自然に咲かせた緑弁が葉上に上がり葉幅,葉姿の力強さから「翠苑より上ですね。」と話したことだった。その後,この品種は沢山の愛好者に渡っているが何故か遮光して出品されていることが多い。出版されている春蘭の本に遮光花を載せているからかもしれないし,ネーミングに「白」があるからかも知れない。しかし,この花はそのまま緑弁に咲かせた方がよい。
 日本春蘭はもともと野性味が強い。寒蘭,中国春蘭などよりずっと素朴で荒々しい。私は自生域が緯度的に北にあり,厳しい自然と対峙しながら生きてきた風土が影響していると考えている。以前仕事で茨城県のつくば市にいた頃,冬の朝には霜柱が立ち関東の空っ風が吹き荒れた。その地がかつて日本春蘭の一大産地で足の踏み場もないほど自生が見られた場所であると聞いたが,他の蘭に比べ自然の厳しい土地から生まれる春蘭はおのずと荒々しく素朴な因子を持つと考えている。日本春蘭の銘名品は,この野生種から変異し気品と特徴を備えたものを選び出しているが,生まれ持った素質は全て抜けきってはいない。山採りの素心は野生春蘭からするとその色合いから気品を感じることができる。この素心にキャップを被せ白く咲かせるということは,春蘭の野性味をさらに消し去り優美さや格調を与えるという行為であろう。しかし,この方法は同時にその素心の個性,特徴を奪ってしまう行為であることも,考えておかねばならない。名花は個性的な美,すなわち芸や味をもっているが,これを消し去っては元も子もない。黒崎邸で見た紀の白帆は,弁質厚い緑の花弁がパンと力強く張り,端正で健康的な美しさを表していた。私はこちらのほうを好む。
 素心は花弁の色が濃い緑の場合にも見応えがある。濃い緑と真白い舌のコントラストが美しさを生むのである。
黒崎氏から譲り受けた蘭に「翠玄香」と名付けられた蘭がある。氏が花弁は椿の葉よりも濃いと表現されるこの蘭,花期が4月になるため衆目を受けることが少ない。一度黒崎氏の棚で枯れかけ,枯らすに惜しいと素1本から持ち直したという品種である。確かに弱い所があり,調子が出たかと思えば新子が痩せる。我が棚に来て長いが,まだ、株分けの機会がない。
 登録されている紺青晃や小百合姫の他にも花弁の色濃い素心は探せば出てくるはずである。集めてみるのも楽しいと思う。

鄙・私鬥兩convert_20101227204731  相変わらず写真写りが悪いが翠玄香
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