寒蘭交配種

 寒蘭の花時期が近づいている。会誌や展示会の案内が郵送されてきた。今月,ある園芸誌に寒蘭の交配種の記事があった。今のところ交配種が作出されるのはやはり親木の充実した南国の産地からということになるようだ。交配種が都会の愛好者を増やす期待を担っているとのことで高知県の会誌の転載である。寒蘭ブーム復活に交配種をもって期待をする、しないは,産地ごとに状況が違っている。それはともかく,交配寒蘭は今後,寒蘭の持つ山野草イメージの部分のみをそぎ落とし園芸品種の道を歩み出すことになろう。交配種が寒蘭のもつどの部分に光を当て園芸化し,愛好者を捕らえてゆくのか?花の色,型など一見,見栄えは確実に良くはなるが,かつての山採り品から自然と序列が生まれた要素,いわゆる珍しさ,貴重さ,変異の幅,美しさなどの基準とは別の新しい見方も必要となる。
 現在,寒蘭界には愛好者の需要を上回る品種数が既に多数存在し,自然採取の登録品でさえ各地の蘭界の登録品種を合わせると5千種近くはあろう。現在のどの愛好者もこれらの寒蘭をすべて見ることも,まして栽培することも出来ない。需要と供給のバランスが崩れ,購入金額なども銘鑑でいうピラミッド型から平板型の世界となってきている。新登録の品種でさえ数年を経れば価格は旧種の蘭の仲間入りである。逆に言うと,これまで登録された山採り品種と出会い,吟味し,特性を再発見してゆくというだけで十分に楽しめる登録数ともいえる。

譏・譎・シ狙convert_20101017135815球磨寒蘭  春晃

 交配種が寒蘭の変異を同じような人工作業で作り出せるとなると,貴重で珍しいというタイプは無くなるから,品種の優劣・順序がつきにくく,等価値になれば今までのピラミッド型銘鑑はほぼ瓦解する。
 趣味で愛好する品種数としては十分すぎる飽和状態に,新しく交配種は何を生むのか。
 一方,現在,各地の蘭会では登録品種の維持管理はしていない,いわば登録費用は会を維持するための目的で規制せずに登録を続けている。交配種の登録はその点での貢献度はある。
 過去登録された品種のどの程度が現存しているかは会ですら把握できていない。かつて高知県の蘭商東郷氏らが土佐寒蘭の登録品種の存続を憂い、保存のため公的な土佐寒蘭センター設立を行政に働きかけ,自らも登録蘭の大量寄付を行った。しかし、その後,それに続く登録品種の保存管理はなされているのだろうか。同寒蘭センターで登録品を管理し登録品の権威を示そうとした時代はかなり前に過ぎたように感じられる。
 このようななかで寒蘭界は交配種という新たな世界をどのように維持・管理するのであろうか。商人は生活のため目新しい花の作出を目指し,趣味の会は資金源として活用し,産地の愛好者は山蒔きで固有種の遺伝子かく乱をしながら自分たちが楽しめればよしという事になる。南国の山に地域固有の寒蘭というものが消え,交雑種寒蘭が生える。
 夢を追うことができ,ブームに沸いた30年前とは違い,都会の愛蘭家には成り行きまかせで未来の見えない様相になってきている。




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