緑英

緑英は一華のなかで最も好きな蘭のひとつです。
 中国春蘭の名品の中でも少し寛容な雰囲気があるこの品種が好きです。
--冷えかえる美--江戸時代の茶人達は唐物の工芸品をこう呼んだそうです。中国の工芸品は美に対する完璧さの追究,それにしたたかさとこだわりを持ち合わせています。甘さを微塵も見せず冷えかえるようだと感じさせる美しさは美術本からも十分感じ取ることが出来ますが,この民族的な精神性は中国春蘭の名品にも同じように流れています。
 翡翠玉を蘭花に求め,舌の基準一つをとっても驚くほど細かい分類にまで進んだ過程からは,底流にやはり民族的な血を感じずにはいられません。これほど執拗に自然のかたちを選別追求することなど日本の愛蘭家には出来ないでしょう。
 宋梅や万字がその代表だとすれば,緑英はまた違った趣,柔らかさを感じさせてくれます。
 葉の密度は中国春蘭の生まれ持った性質としても紺地深く,艶が良い。成木となった株の姿はまるで大木のようなゆったりと落ち着きがあります。注意すべきは日光と肥料に敏感なこと,葉先が傷み易いです。私のような作下手の愛好家の手に渡ると病気持ちの株となりますので手に入れるときはバック木までよく注意することが必要です。

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緑英(良い出来ではありません)

 花に至ってはまず舌が素晴しい。内弁の奥から差し出された,まるで菓子細工のような型。白地に鮮紅色の点の対比も絶品です。名品の持つ完璧さ,驚異とも言える微塵の迷いもない自然の造形が存在しています。花弁の色は名の通り青梅のごとき緑色。絵の具の緑色ではない生きた緑です。張りつめた弁型が多い梅弁の中で、咲き始めの平肩から落肩に向かいながら最後にはどこかゆったりとのどかさのある花型で止まります。厳しい舌型に伸びやかな花弁という不思議なバランス。黒崎氏は南画の境地だと評されますが,私は表現できる言葉を持ち合わせていません。日本人が親しみやすい色形というぐらいでしょうか。

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