中国春蘭の季節

中国春蘭の季節が来ました。毎春、名品を見るたびに感じること、それは見事に統一された中国人愛蘭家の感覚でしょうか。並花との大きな違い、その距離は寒蘭とは正反対の極地です。自生する並花がくすんだ紫色の筋が目立つ緑色に対し銘花は中国で至宝とされる翡翠の持つ翠緑色を選別していること,内弁はしっかりと鼻頭を隠す基本を押さえながら、水仙、梅、荷花と選別して伝統的に規範を位置づけしていることなど、並花から予想もできない完璧なかたちに作りあげる感覚はただただ中国人の厳しさ、すごみを感じます。それゆえ、展示会での存在感は野の花とは思えない充実したもので、かつて感覚の鋭い愛好家が「本当に良く咲いた豊雪でも、宋梅の完成度には及ばない。」と言ったことをまことに鋭い指摘だと思ったことがありました。寒蘭は名品といえどどこかに野の花の優しさが残っています。
 この中国春蘭の良さに、さらに日本人は葉の魅力を加えました。
 実は中国春蘭の大きな魅力の一つは葉にあるのです。中国一花を愛好する者に与えられた一番の特権はこの葉の鑑賞です。私はこれを高校生の頃、黒崎氏から教わりました。以来40年近く楽しんでいます。鋸歯の浅い緑の濃い緻密な葉は年中美しく株立ちにすると存在感は格別です。
 栽培が長くなれば気が付きますが、鉢を側に置いていても、ある時は空気のように当たり前にそこにあり、新芽が伸び出せば、蕾が着けば、花が咲けば、栽培者のこころが様々に変化してもその時々に美しく輝いて見せてくれます。日本春蘭のように締まった姿に作る必要もありません。本性を引き出してやればそれで良いのです。最近はこの葉について議論することが無くなりました。趣味書も花のことばかりですし、古い愛好家や蘭商でさえ一家言を持つ人がいなくなったので最近の愛蘭家には無理もないことなのですが。

IMG_0282_convert_20100303205503.jpg
宋梅

葉姿で有名なのは宋梅ですが、私は元吉梅が好きです。立ち上がりの良さ、中太りの葉に先に行くにつれすうっと細く空間に消えて行く中立ちの姿。葉色は少々劣っても総合的にはこちらでしょう。株分けして良い写真が無いのが残念。

gennkiti_convert_20100303205303.jpg

元吉梅

2月下旬から3月にかけてのある日、暖かい日が数日続くと急に葉の色が美しく生気を帯びて来ることがあります。私の中国春蘭栽培の一年はその日から始まります。
スポンサーサイト
プロフィール

ゴリョウ

Author:ゴリョウ
東洋蘭との日々の付き合いで感じたことを書いています。

メールはこちらまで

この中の画像をヤ0オクに転載することは固くお断りします。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード