寒蘭の花(3)

 豊雪は寒蘭の愛好者なら誰もが知っている金鵄系の素心。咲いた後に黄ばむことから白色で咲くより緑がかる方が好きという愛好家もいる。かつて,頬紅が出るのを白鹿と呼ばれたが,結局,咲ききった豊雪を寒いところに長く置けば舌に桃色の点も出るし,頬紅も出る。白鹿などないことが分かってきた。系統で見て分かるのは小花を沢山付ける系統があることぐらいか。ともあれ秋に発蕾させ白くなった蕾が笑い出した時の様子はまさに天下一品である。

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寒蘭を東洋蘭の中で捉えると、総合的な調和美と立体的な構成美をもつ草ということになろうか。かつてこれを皆光茂氏が「近代的な感覚美」と評されたことは鋭い指摘である。だから床の間よりも洋間に飾るほうがはるかに似合う。この近代的感覚美はまさに近代日本人の好きな中庸の美である。東洋蘭は野生種の変化を基本としているが,その中でも寒蘭ほど名品と並品の距離が近いものはなく,どれも野の花の持つ素朴さと気品が中途半端に存在している。そのまま咲かせると弁の張りにはゆれが出るし,型も歪む。展示会出品者は皆一生懸命手直しをし,野の花の中途半端さを薄め去り完璧さの手助けをする。寒蘭は名品と並品の変異幅の乏しさが野の花の良さを保持し,中途半端な完璧さが日本人の感覚にピッタリと来るのである。しかも、一番の強みである花色の豊富さが趣味者を飽きさせない。野の花の渋い色を持ちながら中に華やかさ、明るさ、暖かさ、優しさを感じるのである
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