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九華展

 最近、あまり家に引っ込んでばかりではいけないと蘭迷さんの九華展にお邪魔しました。

 京都は長年行き慣れていますが、祇王寺は嵯峨野の端。昔は近くに蘭友が住んでいて来たことがありますが、今では用がなければ行くことはありませんでした。
 開催場所は、周囲が竹林で九華蘭展を行うには静かで良いところです。

 今回は、蘭友だったm‘sranさんの遺作が多数展示されていて偲びながらの開催です。
 遺作はどの鉢の花も精一杯の上作で見ごたえがありました。その丹精が凝縮した花をゆっくりと腰を下ろし、株元から視線を上げながら読み解くように見つめました。
 昨秋、m‘sranさんは当家にお出でくださいました。ご自身が癌だと判明して一年近く経過していましたが、いつもと変わらないm‘sranさんがいました。癌を心配する私の話を受け流し、好きな蘭を語る姿は、今から考えると残された時間を大切にしようとされていたようです。
 孔子は、病も天命だと説きます。しずかに忍従するのが道だともいいます。しかし私には孔子の説くような惑いも、憂いも、懼れもないところにまでは行きつけません。奥様とお話したとき、m‘sranさんも主治医の方とご自分で調べられた治療法を検討されていたとのことでした。昨秋のm‘sranさんの蘭を楽しんでおられた心境は、はたして諦めだったのか彼の徳によるものだったのか、いや、やはり彼の徳によるものだったのでしょう。今日見た花がそう語っていました。

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m‘sranさんの遺作


 蘭迷さんと奥様にお世話になりました。毎日を生活と蘭が一体となって過ごされている姿が羨ましくなります。書でも茶でも鉢でも蘭に関係するものは全て吸い込んでしまう力を感じます。


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蘭迷さんと今井会長


 黒崎さんは初心者には九華では大一品を勧めていました。蘭迷さんの展覧会でも一鉢あり、品格のある花が咲いていました。  昔、黒崎さんを訪問したときは、大一品の印象はなくて、腰の高い鉢に植えられた程梅がよく咲いていたのを覚えています。九華は場所が必要なので、氏も数多く作るのは難しかったようです。
 今回は蘭迷さんに慶華梅の話を教えていただく機会を得ました。

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 九華というのは、東洋蘭のなかの東洋蘭というべきものです。よい香りはしますが派手な美しさもなく、時にグロテスク、時に神秘的、誰もが欲しいと思うものではありません。人気がないのではなく、人に容易に理解させない近づかせない、また、気高く堂々として引き下がらない強さを持っています。だからこそ、この魅力に引き込まれる人は東洋蘭好きのなかでも限られてしまうのでしょう。東洋蘭の美は、その人の直感、主観で決まるものだからです。


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晩冬

 晩冬という言葉があるのかどうか・・・、二月も後半になると三寒四温で暖かい日も出てきました。今年の大寒から立春にかけての寒さは厳しいものでした。当地のような暖かいところでもマイナス4度を記録しました。我が家の蘭はいくら寒くても暖房はありません。小苗等は新聞紙を葉上に敷いてもらえるのものの、大株は屋外で吹きさらしのものもあります。年間を通して肥料少なく自然栽培を心がけているというか、放任というかは別として、例年凍害による影響はあまり見られません。
 蘭を始めた頃は肥料も、培養土も自前で作っていました。蘭用の肥料も培養土も売っていなかったからでもあります。培養土は今でも単品の土を買ってきて混ぜ合わせて作っていますが、肥料は出来合いの市販品で済ませています。蘭を作ってきて次第に肥料にこだわらなくなってきたためです。趣味からすれば自前で作るのが本道だと思うのですが、作ってしまうとついやりすぎてしまいます。肥料をやりすぎた蘭を蘭友に分けるとその棚で必ず作落ちするのと、もともと野生のものなので肥料は最小限にとどめるほうがよいと考え、ゆっくりと大きくしてゆく方法をとっています。蘭は欲を出さずに作るものです。
 培養土は硬質鹿沼の出現で栽培が楽になりましたが、最近、一般には良い硬質鹿沼が手に入らなくなってきましたので、工夫をする必要が出てきました。硬質鹿沼と焼き赤玉で決まりということでなく趣味でやっているので良いと思う土はいろいろ混ぜ合わせる方が成績も良くなると思います。私はあまりやれていませんが。
 栽培は、培養土とその粒の大きさ、それと水かけの目安。この三点を考えながら作るわけですが、目標は締まった良い蘭を作ることで、蘭に上手にストレスを与えながら作らないと美術品にはなりません。最近は水のやりすぎで伸びきった蘭ばかりが目に付きます。培養土が安定し、作るのは簡単ですが締まった蘭を作るのは難しいです。当地では、特に夏を乗り切るための良い培養土の組み合わせを見つけ出すことが必要になってきています。

 話は替わりまして、3年前に昨落ちした霊峰がようやく少しですが調子が戻りつつあります。霊峰は派手に進むと根がでなくなり、新子も痩せ、株が崩れてきます。そうなると人工的には元に戻せなくなるので、またバックから作り直しとなるわけです。

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雪桜

 平成30年が始まりました。平成もこの1年少しで終了となります。平成になってからでも30年。昭和の時代から長く蘭を栽培していることに改めてよく続いているなと思います。
 蘭に対する熱の入り方も最近は培養土までも市販品を使ってみようかと思うくらい低調に推移していますが、平成に入った頃はまだ赤花ブームから縞ブームも始まり、私の中でも熱が入っていた時期でした。
 その頃の思い出を一つ。
 平成2年に東京の黒崎さんを訪ねたときのこと。先生の蘭舎に無名の赤花素心がありました。確か訪問したのは秋だったと思うのですが、茨城方面の産だというこの蘭に当然花はなかったのですが、先生は二度花を確認され、さらに良い花を咲かせようと大切にされていました。そして、まだ、誰にも分けていないと話されたのを聞いたとき、私の収集欲に火がつきました。
 「是非とも分けていただけないでしょうか・・・。」
 分けられないという先生にお願いを繰り返し、話題を変える先生にまたお願いし、分けてもらうまでは帰らないつもりで何度もお願いしました。結局、応接間と蘭舎を3度も行き来してなんとかバック1本を分けていただけることになりました。鉢を開けて確か4、5本立ちぐらいだったと思いますが、一番後ろを頂いた時の嬉しさは例えようがありません。先生はこの蘭が性質が弱いので1本割りにするのを心配されていましたが、私は嬉しさからそんな心配もどこかに飛んでしまっていました。
 丁度、世間はバブル末期に近づいていた頃で、蘭も高値をつけていました。この蘭も持ち合わせでは足りず、後で書留で残金を送ることになったのも思い出です。
 先生はこの無名の赤花素心に「雪桜」という名前を付けておられました。

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雪桜

「どんな色に咲きますか。」と聞いた私に先生は、「あなたの足元にある敷物の色です」と言われました。そこには朱紅色の模様の絨毯が敷かれていました。
 それから30年近く。
 芽が出てはバックが落ちる繰り返しで花はなんとか2度咲きましたが、貧弱な株についたもので花色は朱金色のような先生が話された色には遠いものでした。
 先生からいただいた蘭では、過去に、萬寿以上といわれた赤輪を枯らしたことがあり、痛恨の極みですが、自他共に作下手を認めるなかで、この赤花素心だけは枯らさずに持っていこうと思っています。
 私が蘭を作っていられるのはあとどれぐらいかわかりませんが、この蘭をなんとか上作し本咲の花を見たいと願っています。

賀正

 あけましておめでとうございます。
 元旦の当地は暖かい日差しを浴びて15℃にまで上昇しました。この温度では寝ていた蘭が目覚めてしまうのでよくありません。

 2棟ある蘭舎は冬ごもり中です。蘭舎は手作りで材木に波板を貼ってあるだけのものなのですきま風はどこからも入って外部と温度的には変わりません。

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 入りきらないものは外の棚。ここには6寸以上の大鉢で株立ちの蘭をかけ枠に置いています。雨よけの屋根があるだけで風はモロに受けます。地面には九花や玉花蘭などをじか置いています。

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 寒蘭も寒い風に当てっぱなしです。もともと入会していた関西寒蘭会の影響で土佐寒蘭が多かったのですが、今は豊雪、室戸錦など古い良い品種を残し、新しいものは入れていません。土佐は交配種が主流になって山撒きされたものは、紀州か日向か肥前かどこともつかない交雑品種になり興味がなくなってしまいました。

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 外棚の蘭は風を通したほうが良くできますが、この状態は放任栽培に近いです。
 昨年は息子の入院などで蘭作が思うにまかせなかったので、今年は良い年になって欲しいと思います。健康が一番、蘭は二番です。
 年末に蘭会の会費納入とカレンダーをもらいに蘭屋さんに行ってきました。春蘭の花物は赤花は女雛を親とした交配ばかりが出てきて食傷気味。柄物に興味が移ってきています。



小雪

 今年は寒蘭の蕾が虫に食われたのと葉ダニの発生でまともに咲いたのは2鉢だけ。散々な結果です。
 二四節季の小雪が過ぎ晩秋の寂しい風景とともに寒さも一段と厳しくなってきました。
 蘭は1週間に一度の水かけで十分となり、12月の声を聞けばよしずを出して暗くして冬の準備に入ります。冬に暗くするのは寒蘭には良くないのですが、春蘭主体なので仕方がありません。
 この秋、私の周りでは二人の蘭友が蘭をやめました。一人は他界、もうひとりは病気入院です。お二人共80歳の半ばを超えておられました。私もあと何年こうして蘭と共に過ごせるのかと考えてしまいました。お二人共蘭の数は適度に管理されていましたので、ことが起こっても家族の方には迷惑をかけなかったようです。
 私の場合どうでしょうか。蘭舎が二棟に外棚が二つ。それに作業机の上にまで並んでいます。いつの間にか広げられるだけ広がって鉢数など数えたことがありません。置きききれなくてお隣とのブロック塀の脇まで溢れた蘭を置いている始末。あまりに増えた蘭に手が回らなくてなかなか整理がつきません。

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庭の端の春蘭

 虎ものは新子が充実し、秋冷を経てこれからが鑑賞の季節です。
 安積猛虎は昨年株分けし、作り直しているところですが、美しい柄が出てきました。丈夫で猛虎の名のとおり、葉幅も広く紺地と極黄の斑色は鮮明で虎の魅力が横溢しています。こんな優秀な虎がよく山にあったなと思います。

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 安積猛虎は斑が出る夏場、そのままにしておくと大斑になってしまうので、これからは夏場にこまめに鉢を動かしてもう少し段切り斑にしたいし、できれば虎の中に紺星を出したいのです。多くの虎ものは虎斑が派手になるほど紺地が増すのできっと安積猛虎も美しさは倍増すると思っています。簡単にはできないでしょうけど何鉢か用意していろいろ試してみても面白いと思うのです。


プロフィール

ゴリョウ

Author:ゴリョウ
東洋蘭との日々の付き合いで感じたことを書いています。

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